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作者紹介
JOKA
10歳で「The Slider」に出会い、7枚聞き潰す。
15歳の時マーク・ボラン没(享年29歳)。
人生の目標を失うも、数年後、聖跡 Lexham Garden/Barnesに滞在(第二次ボラン・ブーム)
現在は第三次ボランブームに突入中。

フランスの森で、魔法使いに出会う・・若き日のマーク

TEXT BY JOKA

「モッズ時代のマーク・ボランがびっちりメイクをして『シーン・クラブ』で男娼をしていたのを覚えてるよ。彼はまだ15歳だった。」
ピート・タウンゼンド(ザ・フー)
マークとはあまり折り合いが良くなかった、ピートのショッキングな発言の真偽は別として、十代のマークはとにかく「ゲイにもてた」。家賃を年上の男性が払ってくれたことも。「大家はオカマなんだ」とマークは日記に書いています。しかし、1966年のイブニング・スタンダードのインタビューでは、自信たっぷりにこうも述べています。
「10人の女の子がいる部屋に入るとするだろ。九人は僕に夢中さ。間違いなく。」

「マークがゲイかストレートかは知らないけれど、欲しいものを手に入れるために、セクシュアリティを利用していたね。ゲームみたいなものさ。」
(マークの初期のマネージャー:マイク・プラスキン)

魔法使いに出会う・・リッグズ・オハラ

1965年、マークは友人を通じて、アメリカ人俳優のリッグズ・オハラと知り合います。リッグズはマークが芸能界でコネを見つけるべく、マークを応援します。
この年上の友人にマークは強い憧れをいだき、一時、芸名を「リッグズ」としていたほど。また、リッグズの詩をいくつか残しており、それらは息を飲むほど官能的です。

リッグズとの思い出で、とりわけマークの心に強く残ったのは、パリ旅行でした。
初めての海外旅行ですっかりエキサイトしたマークのパリでの経験は、「フランスの森で魔法使いにあって半年に渡り錬金術を教わって云々」という、生涯に渡って続く、壮大な与太話、失礼、イマジネーションの元になります。

実際は、「ホテルのバスルームでナメクジを見つけて悲鳴をあげてロンドンに戻ってきた。一週間もパリにはいなかったと思うよ。」(マークの兄 ハリー)

愛してるって言う必要はない・・サイモン・ネピア・ベル

一般にプラトニックな関係と言われているリッグズの場合と異なり、大物マネージャー、サイモン・ネピア・ベルは、自伝で赤裸々にマークとの関係を告白しています。1966年末、サイモンは、いきなり押しかけてきて歌いだした、この無作法な若者に腹を立てるどころか、一目ぼれしてしまいます。彼の手がけたヤードバーズは既に売れっ子でしたが、彼らの内輪もめにうんざりしていたサイモンは、マークのマネージメントに専念します。

「マークは世界で一番ビッグなスターになるとすぐにわかったよ。」

マークの英語は労働者階級あがりのロックスターとは思えないほど、洗練されていて美しいアクセントですが、この時代にネピア・ベルと共に必死でコックニー・アクセントを治したそうです。映画「マイ・フェア・レディ」みたいですね。

この頃マークには、テリーという「ボーイッシュな」ガールフレンドがいました。「テリーはマークにとって兄弟みたいなものだった。彼はストレートというよりゲイで、楽しいことが大好きだったのさ。」(ネピア・ベル)

ネピア・ベルの回想録 "You don't have to say you love me" (愛してるって言う必要はないよ)にはマークに関する興味深い思い出がいくつも紹介されています。
一方、1966年4月のマークの日記には「太って、汗ばんだ、醜い男」との関係の記述があり、その頃の彼は性的に混乱しており、ネピア・ベルとの関係も、精神的というより肉体的な印象を受けます。

ネピア・ベルはマークのシングル、「ヒッピー・ガンボ」を売るためにあらゆる努力を払いますが、全く売れず。「信じられないぐらい下手な黒人ブルース歌手とメェメェ羊のイカレた混合物」とさえ評されました。
彼はマークをリードシンガーとして売るのは無理と判断し、新進バンド、ジョンズ・チルドレンにギタリストとして加入させます。

エレクトリック・ギターを使用した、ジョンズ・チルドレンこそ、マークがやりたかった音楽の方向性を示したバンドでしょう。しかし、マークはギタリストとして「参加する」バンドではなく、「自分」のバンドが欲しかったのです。

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