T.Rex / Marc Bolanのトリビュートサイト。 Marc Bolan(本名Mark Feld)1947年9月30日生 1977年9月16日没。1970年代のBritish Rock,GLAM ROCKを代表するアーティスト。 Tony Vistontiに見出され、朋友David Bowie(デビッド・ボウイ)らと共に若い世代を中心に熱狂的な人気を得る。代表アルバムにElectric Warrior, The Sliderなど。今日も新たなファンを生み出し続けるロック界のメリエス。

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T.Rex FILE REVIEW & Interview with 河添剛

マーク・ボラン年譜
資料としての情報量は必要にして充分だった。
あまりに簡潔な感想ではあるが、事実、これほど明確でサマライズされたものは見たことが無い。
彼の挙動には大して興味の無い私のような人間であっても、こうした資料を参照しつつ、派生的な関連事象を楽しむといった読み方も出来るのではないだろうか。

批評-Critical Studies

この本の中核。
河添氏へのインタビュー取材(後述)でも覗えるが、氏はボランを批評する際、極めて冷静な立場に居る。
そういった河添氏の立場は、『私の個人主義』で述べた「維新後、急速に欧化した文明、社会構造、文学・教育界の変容に対する危惧」を、在英時に培った客観的視点から明確化し、基盤の構築に至った漱石のそれを思い起こさせる。
アーティストを批評する際の冷静な視点が、認識にとって如何に重要であるかを氏は再提起する。

また、マーク・ボランという人物のありていな解剖図を示すといった従来の軟化し切った音楽ジャーナリズムには存在しない、厳密な意味で言う「批評」が展開されている事は、即ち、音楽というジャンルを超える、ある種の挑戦でもある。氏にとって真実とは所与のものではなく、生産されるものに他ならない。
事(こと)の是非に執着する議論を一切眼中に入れない氏の姿勢は、社会にまんえんする事実信仰への批判とも受け止められる。

このことは、T.Rex批評に限らず、あらゆる言論の場で、人々が考えるきっかけとなる評論なり感想などが一般化するきっかけの一つになると言っても過言ではないはず。

マーク・ボランという料理の素材を、どのように調理すれば、最高の料理になるのか、というある種の参考書のようにも思えた。新たにそこから、別の様々な応用料理が出てくれば最高だ。

対談 (内容は物足りない?)

それぞれにマーク・ボランなりT.Rexというバンドなりへの想いが込められているのは判るのだけど、全体を通してみると物足りなさを感じた。
対談という手法の性質からして、ある程度構えてしまうのは仕方がない事なのだろうが、ただ和やかムードにやり過ごすという事ではなく、お互いの意見に食いつくような熱い展開があっても良かったのは?(「同感ですな」と、河添氏)

ファンのお宅は博物館

T.Rex関連グッズの強烈なコレクターの方を訪問するというコーナー。
コレクター氏にとっては、収集行為が人生の一部ではなく、その全てなのではないか?と思われるほど壮観な内容。
マーク・ボランの手書きの原稿ノートやメモは、ぜひ一度肉眼で見てみたい。
(河添氏によれば、紹介されているコレクションは、全体のほんの一部なのだとか。)

貴重な文化財を個人の趣味で保管されているわけだから、ファンとしては感謝すべきだろうか。

アルバム情報

ここでは、ブートを含めた全てのアルバムをいちいち解説なり紹介するといった作業を一切省いてはいるものの、簡潔にして不足感の全くないデータが掲載されている。
T.Rex(Tyrannosaurus Rex)のアルバム情報を効率的に得るにふさわしい。
特筆すべき点は、アルバム紹介の欄に、ジャケット・デザインを担当が明記されている点。
CDに記載されている小さくて細かい文字をいちいち見なくても済むので助かる。

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Marc Bolan Memorial Day (2005/09/16)